夜のキャンプに必須のランタン!その種類や使い方、シーン別のおすすめを解説!

夜間や一泊以上のキャンプであれば、照明器具は必須。そこでおすすめしたいのが夜を彩ってくれるランタンです。ランタンがあるのとないのとでは、夜の過ごし方が大きく変わります。ここではランタンの種類や選び方について詳しく解説しましょう。
ランタンの基礎知識
ランタンの目的は、もちろん暗い夜のキャンプサイトを明るく照らすこと。そして、近年はそれ以外の目的を持ったランタンも登場しています。まずは「ランタンとは何ぞや?」について説明しましょう。
ランタンとライトの違いとは?
野外で使う灯(あかり)には、ランタンとライトがあります。両方の用途を兼ね備えた商品もありますが、基本的には、ランタンは吊り下げたり置いたりして使う灯、ライトは手に持ったり体に装着したりして使う灯と考えればいいでしょう。
ちなみに、頭に装着するタイプのライトは「ヘッドライト」ですが、むしろ「ヘッドランプ」と呼ぶのが一般的です。車のヘッドライトと混同しないように、そう呼ばれているのかもしれませんね。実際、インターネットで「ヘッドライト」と検索すると、車関係のサイトばかりが出てしまいます。
なお、「カンテラ」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これはもともと携行用の灯を指します。日本では、アセチレンを燃料とする「カーバイドランプ」がこう呼ばれていますが、近年はあまり見られなくなりました。
広範囲を照らせるランタン
ランタンとライトの一番の違いは、照らせる範囲です。行動中に使われることの多いライトは、ライトの前面(ライトを向けた方向)を照らすようにできていますが、ランタンは周囲全体を照らしてくれます。キャンプサイト全体を明るくするにはランタンが有利、というわけです。
ところで、真っ暗闇に灯があれば、どうしても虫は寄ってきてしまうもの。しかし、近年は「虫除けランタン」と呼ばれるものも登場しています。これにはふたつのタイプがあって、ひとつは光源の色などを工夫することで虫が寄りにくくなっているもの、もうひとつはUV光源で虫を寄せて電撃ネットで虫を殺します。後者は、地方のコンビニエンスストアなどの店外に設置されている、電撃殺虫器と同じものと考えればいいでしょう。
ランタンの種類
ランタンにはガスなどの燃料を使うもの、また電池や充電池を使うものと、大きくふたつに分かれます。それぞれの特徴を解説しましょう。
ランタンに使われる燃料のいろいろ
ランタンの燃料として使われるものは、ガソリン(ホワイトガソリン)、灯油(ケロシン)、ガスの3種類です。
ガソリンランタンや灯油ランタンは、タンクに燃料を入れて使い、ガスランタンはガスカートリッジを本体に取り付けて使います。つまり、ガソリンランタン・灯油ランタンでは、ランタンとは別に、燃料を保管する専用ボトルが必要になり、ガスランタンではガスカートリッジを持っていく必要があるわけです。
燃料のコストは、安いほうから灯油、ガソリン、ガスの順番。ガスカートリッジは専用品を使う必要があり、予備を含めて複数個用意するとなると結構な金額になってしまいます。 もっとも、ガソリンも一般的に使われる専用の「ホワイトガソリン」は、ハイオクガソリンよりも高価ですから、気にするほどの差はないといえるかもしれませんね。
点火のしやすさは、ガスランタンに軍配が上がります。ガス栓をひねって、自動着火装置やライターで着火するだけという手軽さです。一方、ガソリンランタン・灯油ランタンでは、着火前に燃料タンク内の圧力を上げるためにポンピングという作業が必要です。とくに灯油ランタンは、灯油を気化させるためにプレヒート(余熱)という作業も必要になります。
大きさや重量でいうと、一般的にガソリンランタン・灯油ランタンのほうが大きく重くなります。一方、ガスランタンは登山などでも携行するのが苦にならない、本体をコンパクトにした商品が数多く出ています。
ガソリン、灯油、ガス、どれを選ぶ?
以上の説明からおわかりいただけたかと思いますが、手軽さや機能性でいえば、ガスランタンが上。とくに点火が簡単というのは一番のメリットです。1、2泊程度のキャンプであれば、燃料コストも気にするほどではありません。ですが、選ぶ基準は手軽さや機能性ばかりではありません。その商品が備えている「雰囲気」なども大切な要素です。
いかにも機能優先!といったデザインのガスランタンに対して、存在感のあるのがガソリンランタン・灯油ランタンです。「雰囲気づくりを重視するならこれ!」と思う人も多いのでは? 点火する前の作業も、キャンプの夜を盛り上げる「儀式」と思えば、メリットのひとつに数えられるでしょう。とくに灯油ランタンは、光が柔らかく感じるということからファンが増えているようです。
もうひとつ、ランタンを選ぶ基準として覚えておいてほしいのは、コンロ(バーナー)と燃料を統一するということです。ガソリンコンロと灯油ランタンなんていう組み合わせにすると、燃料ボトルがふたつ必要になり、さらにガソリンと灯油の入れ間違いといったトラブルも起こり得ます。
また、ガスカートリッジについては、本体と同じメーカーのものを使うのが原則。ガスランタンとガスコンロは、同じメーカーで統一するのがおすすめです。
燃料を使うランタンの光源はマントルが一般的

ところで、燃料を使うランタンは、「マントル」と呼ばれる合成繊維でできた網袋を光源とします。マントルはそのままでは使えず、一度「空焼き」という作業を行って灰状にしなければなりません。
空焼きの方法ですが、まず本体にマントルを取り付けて、ライターなどで火をつけて燃やします。このとき、いったんマントルは縮んだ状態になりますが、点火すると燃料の圧力で膨らんで、大きな光源になるというわけです。
キャンプへ行く前に、自宅などで空焼きを済ませたほうが楽な気がしますが、空焼きしたマントルは非常に脆く、衝撃などが加わると壊れてしまいます。また、空焼きのときに嫌な匂いが出るので、キャンプ場に着いてから行ったほうがいいでしょう。
空焼きがうまくいかなかったり、衝撃で壊れてしまったりしたときのために、予備のマントルを用意しておくことは忘れずに!
LEDランタンのバリエーション
電池や充電池を使うランタンは、電球、蛍光灯、LEDが光源になります。近年は、消費電力が少なく、明るく、耐久性に優れたLEDを採用したものがほとんどです。
LEDランタンは、燃料を使うランタンに比べて形状の自由度が高いので、さまざまなシーンを想定したものが登場しています。いわゆるランタンの形をしたものだけでなく、テント内に吊り下げるタイプ、テーブル上に置くタイプ、光源部の取り外しが可能なもの、さらには折り畳みできるタイプまで、バリエーション豊富です。
手軽で安全なLEDランタン
LEDランタンのメリットは、手軽さと安全性。スイッチひとつで点灯するので、誰にでも扱えます。また、燃料を使うランタンのように熱を出さず、一酸化炭素も発生しないので、テントの中でも使うことが可能です。もちろん、誤って倒したりしても、火傷や火事に繋がる心配はまったくナシ! ただし、ランタンが壊れる可能性はありますが。
明るさは商品によって差がありますが、やはり燃料を使うランタンほどは明るくなりません。そのため、複数用意する人や、燃料を使うランタンと併せて使う人が多いようです。もちろん、キャンプサイトを煌々と照らしたくない、あえて夜の雰囲気を味わいたいという人は、LEDランタンのみでOKでしょう。
電源は乾電池、もしくは充電池ですが、電池を使うタイプはランニングコストにちょっと難あり。ですがこれも、短期のキャンプでは気にするほどのものではありません。なお、ソーラーパネルを配した商品もありますが、おしなべて光量が小さいので、広い範囲を照らすことはできないと理解しておきましょう。
キャンプに行かない人でもひとつは欲しい?
扱いが簡単で安全なLEDランタンは、キャンプ以外のシーンでも活躍します。たとえば家が停電になったとき。とくに災害が発生したときのことを考えると、一家に1台備えておいて損はありません。燃料を使うランタンでは、地震などで倒れることで火事を引き起こす恐れがありますからね。
LEDランタンの中には、高い防水性を備えたものや、スマートフォンの充電ができるUSBポートを備えたものもあります。このあたりも、LEDランタンを選ぶ重要なチェックポイントといえそうですね。
【アウトドア特集・ランタンの選び方】ランタンを使う場所・目的による選び方
ここまで説明した通り、ランタンはタイプによって使い勝手や明るさが違います。それぞれの特徴から、どんな使い方がベターなのかを考えてみましょう。
キャンプサイト全体を照らしたい
広い範囲を明るくするには、大光量が必要です。となると、選択肢は燃料を使うランタン。燃料は、ガソリン・灯油でもガスでも構いませんが、ひとつで広範囲を照らすなら、大型のもの=光量が大きいものを選びましょう。
ペトロマックス(Petromax) 灯油ランタン HK500
テーブル/食卓を照らしたい
キャンプサイト全体を照らすランタンよりも、光量の小さいものを使いましょう。嫌な虫が光量の大きなランタンのほうに引き寄せられるので、テーブル上にあまり寄りつかなくなります。
おすすめは、光量の調節が容易なガスランタンやLEDランタン。安全性を第一に考えるならLEDランタンですが、燃料を統一するという意味では、キャンプサイト全体を大型のガスランタンで、テーブル上は小型のガスランタンで照らすという組み合わせもアリです。
コールマン(Coleman)LEDランタン クアッド マルチパネルランタン
ソト(SOTO) ガスランタン ST-260
飾りとして照らしたい
デザイン性が高く、ほのかな灯をともしてくれるLEDランタンがおすすめ。さらに雰囲気を出したいなら、キャンドル(ろうそく)ランタンという選択肢もあります。虫除けを兼ねたキャンドルやアロマキャンドルを使うのもグッドアイデアです。
ユーシーオー(UCO) キャンドルランプ
キャリー・ザ・サン(CARRY THE SUN) LEDランタン クールブライト ミディアム
テント内を照らしたい
安全性の高いLEDランタンが唯一の選択肢です。テーブル上のLEDランタンを寝る前にテント内に持ち込めば、それで済むという考え方もありますが、先に就寝する子どもなどのために、別途小型のLEDランタンを設置しておくといいでしょう。
スノーピーク(snow peak) LEDランタン ほおずき つち
【アウトドア特集・ランタンの選び方】ランタンの設置とレイアウト

ランタンをどこにどうやって設置するかは、ランタン選びと同じくらい大切なノウハウです。目的に合わせた設置方法を覚えましょう。
ランタンの設置方法
ランタンはテーブルの上に置いて使うこともできますが、それでは効率よく照らすことができません。テーブル用のLEDランタンなどを除き、一般的な形状のランタンは、周囲360度は照らせても上下方向を照らすようにはできていないのです。たとえばテーブルに置いた場合、顔がまともに照らされることもあり、テーブルの上が意外と見えづらくなるものです。
実際に設置してみると、ランタンの位置の高さが結構重要だということがわかるはずです。高すぎるとその周囲の足元が見えづらくなり、顔の高さだと眩しく感じ、といって低すぎるとテーブル上が照らせないとなってしまいます。高さを調節するには、ランタンスタンドを使うのがベスト。設置場所も自由になるので、シチュエーションに合わせて場所や高さを変え、思い通りのライティングをすることが可能です。
ビジョンピークス(VISIONPEAKS) ランタンスタンド
タープのポールに取り付けるランタンハンガーも便利です。また、タープのポール間にロープを張って、そこに吊り下げるという方法もあります。ただし、ランタンスタンドに比べると、設置場所や高さの自由度は低くなります。また、燃料を使うランタンでは、ランタンとタープ本体の間に十分な間隔を空けておかないと、タープが熱で傷む恐れがあるので注意しましょう。
コールマン ( Coleman ) ポールランタンハンガー2
ランタンはどこに置けば良い?レイアウトを解説!
快適なキャンプの夜を過ごすために、ランタンはふたつ以上用意したいものです。ひとつは全体を照らす、メインとなる大光量のランタン。もうひとつは、テーブルやキッチンスペースなどを照らす小型のランタン。先ほども解説しましたが、大光量のランタンには燃料を使うものを、小型ランタンはガスランタンかLEDランタンを選ぶのが基本です。
メインのランタンは、テーブルから少し離れたところにランタンスタンドで設置するのがベスト。小型のランタンは、LEDランタンならテーブル上に置いてもいいですが、燃料を使うランタンの場合は、テーブル近くのポールにランタンハンガーで設置するといいでしょう。
メインのランタンは、複数あったほうがキャンプサイトをくまなく照らすことができます。いくら光量の大きなランタンでも、ひとつではどうしても影ができてしまいます。光量が大きければ大きいほど影も強く出るので、かえって影の部分が見えづらくなるもの。むしろ小~中型のランタンを2、3設置するほうが影の部分を減らせます。
【アウトドア特集・ランタンの選び方】お気に入りがきっと見つかる!ランタンのブランドとおすすめ商品7選
ここまでの解説で、どんなタイプの、どれくらいのスペックのランタンが必要か、なんとなくイメージできるようになったのではないかと思います。最後に、自分のキャンプスタイルや趣味にマッチするランタンを選ぶため、各メーカーの特徴と代表的なアイテムを紹介しましょう。
Coleman(コールマン)

1990年代、日本のオートキャンプブームでは、コールマンのガソリンランタンが大人気。近年はガスランタンやLEDランタンが主流ですが、深いグリーン、もしくはレッドを基調とした、当時のガソリンランタンを彷彿とさせる「コールマンらしい」デザインのアイテムが目を引きます。
コールマン ( Coleman ) 2500ノーススターLPガスランタン
コールマン(Coleman) LEDランタン バッテリーガードLEDランタン/1000 レッド 2000034245
snow peak(スノーピーク)

本格的な登山を意識した、軽量・コンパクト・高性能なランタンがスノーピークの真骨頂。テント内で使うLEDランタンも、デザイン性だけでなく、使い勝手を重視しています。
スノーピーク snow peak ギガパワーランタン 天 オート GL-100AR
SOTO(ソト)

カセットコンロに使われているものと同じ形状のガスカートリッジを使うのが、SOTOのランタンの特徴です。また、ホヤ(ランタンのガラス部分)の色を変えるなどして、虫が寄りにくくしたランタンも製造しています。
ソト(SOTO) 虫の寄りにくいランタン ST-233
GENTOS(ジェントス)

LEDを採用したランタンやライトのメーカーです。注目は大光量のランタンですが、LED素子を細長くして白熱灯のフィラメントのような光を演出するランタンもあります。
ジェントス(GENTOS) フィラメントLEDランタン EX-400F
VISION PEAKS(ビジョンピークス)

ヒマラヤスポーツのオリジナルブランド、ビジョンピークスのランタンは、防水ソーラーLEDランタン。水辺でも安心して使えるので、キャンプサイトを離れた場所でも利用価値大です。
ビジョンピークス (VISIONPEAKS) 防水ソーラーLEDランタン VP160902F01
フュアハンド(FEUERHAND)
ここまで紹介してきたランタンとは一線を画す、昔ながらの灯油ランプをラインナップ。燃料が染み込んだウィック(芯)に火を灯すスタイルで、光量は決して大きくないものの、柔らかな光と燃費の良さが特徴となっています。燃料には灯油のほか、燃焼時の匂いがほとんどなく、煤も出にくいパラフィンオイルが使用できます。
フュアハンド (FEUERHAND) ベイビースペシャル276
まとめ
ランタンの必要性にはじまり、タイプ、選び方、そして設置方法まで解説してきましたが、ランタンのことについて少しでも理解していただけたら嬉しいです!ランタンを上手に選び、使いこなして、キャンプの夜を大いに楽しんでくださいね!